へいあんオフィシャルブログ メモリアル・ノート
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マナー・知識

正しい焼香のやり方とは?回数や作法(マナー)を解説

炭の入った焼香鉢と抹香

公開日:2022年2月7日

故人様との最後のお別れの場となるご葬儀は、ご遺族やご親族、そして、参列される方々にとって大切な儀式です。
しかし、ご葬儀では、マナーや作法が分からず戸惑われることもあるかと思います。
その中でも焼香(しょうこう)は、宗旨・宗派によって作法が異なるため、難しいイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、焼香について、意味や作法などをご紹介します。

 

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焼香は仏教的な意味を持つ

焼香する人の手元

焼香とは、ご葬儀やご法要において、お香の1つである「抹香(まっこう)」を使って行なう儀式のことです。
「抹香」とは細かく砕いた粉末状のお香で、これを少量指でつまみ、香炉(こうろ)にくべます。

ご葬儀やご法要でお香を焚くことは、邪気を払って不浄を遠ざけ、また自身の心身を清めるという意味合いがあります。
ちなみに仏教では、お香の香りは仏様や故人様の食べ物と同じであると考えられているため、お香を焚くことは、仏様や故人様に食べ物を捧げるという意味も持ちます。

焼香は、仏教発祥の地で、香木(こうぼく)の産地としても知られるインドから各地へ伝わりました。
日本へは、仏教と同じく6世紀頃に伝来したと考えられています。

インドは高温多湿の地域ということもあり、ご葬儀の際に、ご遺体の腐敗臭を消す目的でお香を焚くようになったそうです。
また、お釈迦様が説法をする際に、集まった人々の体臭が気になったため、元々体臭を消すために用いていたお香を焚いたという説もあります。
焼香は本来仏教においてお香(こう)を焚くこと全般を指します。

このような経緯もあり、焼香は仏教ととても結びつきが強い儀式です。
なお、では焼香の代わりとして、玉串を神前に捧げて拝礼する「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」、キリスト教式では花を供える「献花」などが行なわれます。

玉串・献花に関しては『玉串・献花とは?玉串奉奠と献花の作法を解説』で詳しくご説明しております。

 

宗旨・宗派ごとに異なる焼香の作法

焼香をする女性

仏式においては、宗旨・宗派によって焼香の作法が異なります。
ここでは、焼香の流れの一例をご紹介します。

1. 焼香台に近づき、式場の皆様に一礼。その後、祭壇の方を向きます。
2. ご本尊に向かい、もう一度、一礼をします。
3. 右手の親指・中指・人差し指で、お香をこぼさない程度に少量つまみ、静かに香炉にくべます(作法は宗旨・宗派により異なります)。
4. 数珠を両手にかけ、心をこめて合掌をします。その後、一歩下がり式場の皆様の方を向き、一礼して席に戻ります。

焼香の流れをイラストで説明

ご親族でも、一般の参列者でも、焼香の作法や大まかな流れは特に変わりません。
ただし、参列の人数が多い場合など、席に戻る前の参列者への一礼を割愛したり、焼香の際の順路が決められていることもあります。
その場合は、葬儀社のスタッフの誘導に従ってお進みいただくと良いでしょう。
また、式場の皆さまに向かっての一礼は、ご親族なら一般の参列者に向かって、逆に、一般の参列者ならご親族に向かってするようにご案内されることもあります。

次に、宗旨・宗派ごとの焼香の回数と唱える言葉をご紹介します。

・ 浄土真宗本願寺派(西本願寺)

お香は額に捧げずに1回。
「南無阿弥陀仏」と唱えます。

・ 浄土真宗大谷派(東本願寺)

お香は額に捧げずに2回。
「南無阿弥陀仏」と唱えます。

・ 浄土宗

お香を額に捧げます。
回数は特に決まっていません。
「南無阿弥陀仏」と唱えます。

・ 真言宗

お香を額に捧げて3回。
「南無大師遍照金剛」と唱えます。

・ 日蓮宗

お香を額に捧げて3回。
「南無妙法蓮華経」と唱えます。

・ 日蓮正宗

お香を額に捧げて3回。
「南無妙法蓮華経」と唱えます。

・ 曹洞宗

お香を額に捧げて2回。
ただし、2回目は額に捧げません。
「南無釈迦牟尼仏」と唱えます。

・ 臨済宗

お香を額に捧げます。
回数は特に決まっていません。
「南無釈迦牟尼仏」と唱えます。

・ 天台宗

お香を額に捧げます。
回数は特に決まっていません。
「南無妙法蓮華経(朝)南無阿弥陀仏(夜)」と唱えます。

・ 時宗

お香を額に捧げます。
回数は特に決まっていません。
「南無阿弥陀仏」と唱えます。

・ 創価学会(友人葬)

お香は額に捧げて3回。
「南無妙法蓮華経」と唱えます。

宗旨・宗派によって焼香の回数が異なるのは、焼香に込められた意味が変わってくるからだとされています。
例えば、焼香を1回する場合には、「一に帰る」という仏教の死に対する教えに基づいたもの、2回は主香(しゅこう)と従香(じゅうこう)という考え、3回は仏教で3の数字が大事とされている点に基づくと考えられています。

宗旨・宗派に関しては『仏教における「宗派」とは?宗旨・宗派の違いや意味を解説』で詳しくご説明しております。

 

3種類の焼香の方法

焼香の方法には、ご葬儀が行なわれる場所や規模に合わせて、「立礼焼香」、「座礼焼香」、「回し焼香」と呼ばれる3種類の方法があります。
葬儀会館で行なわれる通夜、葬儀・告別式では、立った状態で行なう立礼焼香が選ばれることがほとんどです。
なお、先ほどご紹介した焼香の作法の一例も、立礼焼香での作法となっていまなす。

・ 立礼焼香

焼香をする女性

ご遺族や会葬者が、順番に立ち、焼香を行ないます。
ご自身の順番が回ってきたら、席を立って遺影・焼香台の前へと進み、焼香が終わったら着席します。

・ 座礼焼香
座礼焼香

和室でご葬儀が行なわれる場合は、順番に遺影の前で座った状態で焼香を行なう座礼焼香となります。
遺影・焼香台の前まで移動する際には、中腰で移動するのがマナーです。

・ 回し焼香
回し焼香

ご自宅などの狭い場所で行なう場合、お盆などに乗せて香炉を回し、順番に座ったまま焼香を行ないます。

 

焼香の順番の決め方と注意点

並んで焼香をする女性の後ろ姿

焼香の順番については、まず初めに喪主が行ない、以降は故人様との血縁の濃い順に行なうのが一般的です。
故人様と同居か別居かなどによっても順番が変わってきますが、明確な決まりはありません。

ご葬儀の際には、ご親族の方はある程度焼香の順に座っておくと良いでしょう。
なお、一般参列者は座った席順に前列から焼香を案内されますが、最前列など、来賓席として座る方が指定されている場合もあるのでご注意ください。

焼香の順番については、ご遺族とご親戚のあいだで、ごくまれにトラブルになることもあります。
トラブルを避けるためにも、事前にご親族間で話し合っておくと良いでしょう。

 

留め焼香とは?

抹香をつまんでいる手元

関西地方を中心とした西日本のご葬儀では「留め焼香(止め焼香)」という習慣があります。
これは、兄弟姉妹など、故人様にとって血縁の濃い人が、あえて最後に焼香を行なう方法です。

留め焼香には、ご親族や参列者に焼香の順番に不備があったとしても、納得してもらうという意味合いや、「不幸を止める」という意味合いが含まれています。

 

大事なのは真心をこめて焼香すること

焼香設備

いかがだったでしょうか。
今回は、焼香に関する知識についてご紹介しました。

特に焼香の「作法」に関しては宗旨・宗派により決まりはあるものの、実際のご葬儀では、参列者の人数や進行状況により、焼香の回数を1回で済ませることも少なくありません。
また、同じ宗旨・宗派でもご寺院によって異なる場合もあります。

作法に従うことも大切ですが、何より大切なのは真心をこめて焼香し、故人様をご供養することです。
形式に縛られすぎず、故人様との最後の時間をお過ごしください。

神戸・阪神間での仏事に関するご質問がございましたら、平安祭典(0120-00–3242)までお問い合わせください。