へいあんオフィシャルブログ メモリアル・ノート
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文化

仏教における「宗派」とは?宗旨・宗派の違いや意味を解説

空海像

公開日:2022年3月21日

2018年にNHKが実施したアンケート調査によると、日本人が信仰する宗教は「仏教」 が31%、「神道」 が3%、「キリスト教」 が1%、「信仰する宗教なし」 が62%だったそうです。(その他:1%、無回答:2%)
ご葬儀を仏式で行なう方が多い中で、「仏教」の31%は、少ない印象を受けます。
「信仰する宗教なし」 と回答した方の多くは、実際には仏教を信仰しているかもしれませんね。

ところで、日本人の多くが信仰している仏教には、ご存知の通り、多くの宗派(しゅうは)があり、古くからある伝統的な仏教だけでも「十三宗五十六派」が存在します。
そこで今回は、この「十三宗五十六派」、そして日本の仏教の代表的な「十三宗」についてご紹介します。

 

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「宗旨」と「宗派」の違いと仏教における歴史

拝む寺院

「宗旨」は宗教の教えや教養そのものを、「宗派」は各宗教から生じた分派を意味しています

日本の伝統的な仏教には、「十三宗五十六派」が存在します。
「十三宗」とは、法相宗律宗華厳宗真言宗天台宗日蓮宗浄土宗浄土真宗融通念仏宗時宗臨済宗曹洞宗黄檗宗のことです。
「五十六派」とは、これらの十三宗から教義・信仰対象などの違いや歴史的経緯により生じた五十六の分派のことです。

一方で、「十三宗五十六派二十八宗派」という呼び方もあります。
これは1940年4月に「宗教団体法」が施行され、宗教団体は認可制となり、五十六派が合同した二十八宗派が認可を取得したことに由来します。

 

仏教の代表的な「十三宗」

阿弥陀如来像

日本の伝統的な仏教である「十三宗」ですが、それぞれの特徴について見てみます。

奈良仏教系

・ 法相宗(ほっそうしゅう、ほうそうしゅう)

開祖:玄奘三蔵(三蔵法師)
本尊:唯識曼荼羅(ゆいしきまんだら)

長い時間をかけ、段階を経て修行を行なうことで成仏に至ると考える。
また、念仏や題目を唱える、坐禅を行なうなど、ひとつの行だけに専念するのではなく、様々な行を推奨する
遣唐使の僧により日本に伝えられる。
興福寺、薬師寺が本山。

・ 律宗(りっしゅう)

開祖:鑑真和上
本尊:盧舎那仏(るしゃなぶつ)

戒律」、すなわち自発的に規律を守ろうとする心のはたらきを指す「戒」と、他律的な規則を指す「律」の研究と実践を主とする。
日本には鑑真(がんじん)が伝えた。
唐招提寺が本山。

・ 華厳宗(けごんしゅう)

開祖:杜順
本尊:毘盧舎那仏(びるしゃなぶつ)

毘盧舎那仏とは、明るい光を放つ仏で、毘盧舎那仏の光明により迷っている人々を浄土である華厳世界に導くとされる。
華厳経」を経典とし、大乗仏教の中でも哲学的で独特な教えを持つ。
聖武天皇が建立した東大寺(奈良の大仏=盧舎那仏像で有名)は、近代以降は華厳宗を名乗る。

密教系

・ 真言宗(しんごんしゅう)

開祖:空海(弘法大師)
本尊:大日如来

空海が唐の都・長安で学んだ密教を基盤とする。
大日如来をすべての根本と考える。
人の心のあり方や価値観などを10の段階に分け、最終的に大日如来と同レベルに達することを説く。(「十住心思想」)

密教系+法華系

・ 天台宗(てんだいしゅう)

開祖:最澄(伝教大師)
本尊:お釈迦様、薬師如来など

中国で学んだ最澄により日本に伝えられた密教。
朝は法華経の南無妙法蓮華経を唱え、夕方は阿弥陀経の南無阿弥陀仏を唱えるという「朝題目夕念仏」という言葉があるが、法蓮華経(法華経)」を根本仏典とする
天台宗から多くの日本仏教の宗旨が発展した。
比叡山延暦寺が本山。

法華系

・ 日蓮宗(にちれんしゅう)

開祖:日蓮(立正大師)
本尊:お釈迦様、大曼荼羅、日蓮聖人

鎌倉時代中期に日蓮が興す。
本尊・題目・戒壇を三大秘法とし、題目(「南無妙法蓮華経」)を唱えること(唱題)を重視している
「南無妙法蓮華経」とは「妙法蓮華経(法華経)に帰依する」という意味。
法華宗とも称する。

浄土系

・ 浄土宗(じょうどしゅう)

開祖:法然(円光大師)
本尊:阿弥陀様

鎌倉仏教のひとつ。
修行の価値を認めず、修行による成仏を否定し、念仏を唱えることを重視する。
念仏を唱えることで極楽往生に至ると考える

・ 浄土真宗(じょうどしんしゅう)

開祖:親鸞(見真大師)
本尊:阿弥陀様

法然の教えを親鸞が継承し発展させる。
人が求めなくとも阿弥陀様が救って下さる、いずれ仏になることが約束されているから、改めて修行する必要はないという教え。

・ 融通念仏宗(ゆうづうねんぶつしゅう)

開祖:良忍(聖應大師)
本尊:十一尊天得如来(中央に阿弥陀様、周囲に10体の菩薩)

毎日何度も念仏を唱えることが修行の中心となる。
一人一人の祈りが全ての人の為となり、全ての人の祈りは自分のためになるという教えを持つ。
華厳宗の影響を受ける。

・ 時宗(じしゅう)

開祖:一遍(証誠大師)
本尊:阿弥陀様または南無阿弥陀仏の書

阿弥陀様を信じる信じないを問わず、仏の本願力は絶対であるがゆえに、念仏さえ唱えれば往生できると説く。

禅宗

・ 臨済宗(りんざいしゅう)

開祖:栄西(千光法師)
本尊:定めはないがお釈迦様が多い

師から弟子への悟りの伝達(法嗣、はっす)を重んじる。
座禅を組みながら師と弟子が問答を繰り返す「看話禅(かんなぜん)」で有名。
ちなみに、「ソモサン(什麼生)」「セッパ(説破)」で知られるアニメの一休さんは、室町時代に実在した臨済宗の僧侶・一休宗純をモデルとしている。
鎌倉幕府、室町幕府という時の政権との結び付きが強く、室町文化の形成にも多大な影響を与えた。
鎌倉時代には上級武士の間で支持された。

・ 曹洞宗(そうとうしゅう)

開祖:道元(承陽大師)
本尊:お釈迦様

「看話禅」の臨済宗とは異なり、黙して坐禅に徹する「黙照禅」で各自が悟りを開いてゆく。
鎌倉時代には地方の武士や一般市民の間で支持された。

・ 黄檗宗(おうばくしゅう)

開祖:隠元(真空大師)
本尊:お釈迦様

江戸時代初期に来日した明末の僧、隠元が開祖。
教義・修行・儀礼・布教などは日本の臨済宗と変わらないが、儀式の形式や使われる言葉は中国・明時代の様式。

 

ご葬儀では宗旨・宗派の確認を

お寺

今回は、仏教における「十三宗五十六派」、日本の仏教の代表的な「十三宗」についてご紹介しました。

宗旨・宗派が異なると、御香典の表書きの書き方や線香の作法も異なる場合もあります
そのため、ご葬儀に参列なさる際には、喪家の宗旨・宗派の確認をしておきたいところです。

御香典については『御香典の知識・相場・マナー』で詳しく説明しています。

平安祭典では神戸・阪神間での仏事に関するご相談を承っております。
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