公開日:2023年3月6日
葬祭業界で働く方の中には、「葬祭ディレクターの資格取得に挑戦しよう」とお考えの方も多いでしょう。
しかし、試験に向けた勉強法や試験の難易度がわからず、不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで当記事では、葬祭ディレクターを目指していらっしゃる方のために、試験の概要について解説します。
また、平安祭典に所属する1級葬祭ディレクターにヒアリングを行ない、勉強法や試験の難易度、試験場でのよくある失敗もご紹介します。
葬祭ディレクターの資格取得に向けて、当記事がお役に立てば幸いです。
平安祭典には2023年3月現在で74名の1級葬祭ディレクターが在籍しています。
今回は以下の4名にヒアリングを実施しました。
・マネージャー: 宮崎 勝己
・サブマネージャー:稲森 裕之
・サブマネージャー:青野 正典
・サブマネージャー:後藤 雅史
葬祭ディレクターの仕事内容などについては、###sousaidirector_shigoto###にまとめておりますので、ぜひ併せてご覧ください。
[@目次@]
葬祭ディレクターの資格を取るには
葬祭ディレクターの資格を取るには、葬祭ディレクター技能審査協会が実施する葬祭ディレクター技能審査に合格する必要があります。
葬祭ディレクターの等級には1級と2級があり、どちらも受験資格として葬祭実務経験が必須です。
試験の概要は以下の通りで、1年に1回のみ実施されます。
試験会場:札幌、仙台、大宮、東京、横浜、名古屋、京都、福岡
受験資格:(1級)葬祭実務経験5年以上、
または2級合格後、2年以上の実務経験を有する者
(2級)葬祭実務経験2年以上を有する者
受験料 :(1級)55,400円(税込)
(2級)39,700円(税込)
合格基準:学科試験:70%以上の得点が必要
実技試験:幕張、接遇、司会、実技筆記の点数を合計して70%以上の得点が必要
(ただし、幕張、接遇、司会、実技筆記のいずれもが30%以上の得点が必要)
試験実施:毎年1回 9月頃 ※2020年は新型コロナウイルスの影響を受けて試験中止
申込期間:毎年4月~5月頃 ※2022年は5月10日~6月17日
合格発表:11月頃
葬祭実務経験を証明するには、在籍している会社に「葬祭業務実務経験年数証明書」を発行してもらい、提出しなくてはなりません。
在籍していた会社の廃業など、やむを得ない理由で証明書を発行できない場合は、年金事務所などの窓口で発行している「被保険者記録照会回答票」で代用可能です。
なお、葬祭ディレクター技能審査の内容は3つあり、次のような試験が行なわれます。
・ 学科試験
ご葬儀に関する知識について、意味も含めて正確に理解しているかを審査します。関連する知識として、一般常識・宗教・法律・公衆衛生など、幅広い分野から出題されます。
・実技試験
ご葬儀の施行に関する技能を審査します。
式場設営の基本能力を審査する「幕張(まくはり)」、ご葬儀における司会進行や言い回しを審査する「司会」、ご葬儀に関する応接能力(礼儀作法や、ご遺族のお気持ちを汲み取るなど)を審査する「接遇」が試験内容です。
・実技筆記
葬祭ディレクターとしての実践面における理解力を筆記で審査します。
正しい言葉づかいや、ご遺族からの質問やクレームなどに対して適切な対応ができるかを判定します。
以上が葬祭ディレクター技能審査の概要ですが、1級と2級によって試験内容に差があります。
ここからは、等級別の試験内容を見ていきましょう。
葬祭ディレクター1級の試験内容
葬祭ディレクター1級の試験内容は、次の通りです。
1級取得には、個人葬から大型葬まですべてのご葬儀に対応可能な知識と技能が求められます。
そのため、2級より学科試験の出題数が多く、回答時間も長めです。
参考までに、2021年の合格率は63.4%でした。
学科試験:正誤判定問題50問、多肢選択問題50問の合計100問。解答時間は50分間。
実技試験:幕張(制限時間7分間)
実技試験:接遇(制限時間2分間)
実技試験:司会(制限時間6分間)
実技筆記試験:出題は60問で、回答時間は30分間。
葬祭ディレクター2級の試験内容
葬祭ディレクター2級の試験内容は、次の通りです。
2級では個人葬に関する知識や技能に関する試験が行なわれ、1級に比べると学科試験の出題数が少なく、回答時間は短めです。
2021年の合格率は69.6%でした。
学科試験:正誤判定問題25問、多肢選択問題25問の合計50問。解答時間は30分間。
実技試験:幕張(制限時間7分間)
実技試験:接遇(制限時間2分間)
実技試験:司会(制限時間4分間)
実技筆記試験: 出題は60問で、回答時間は30分間。
※試験の概要、1級と2級の試験内容は、厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査の内容をもとに作成しています。
それでは続いての項目から、現役の葬祭ディレクターにヒアリングした内容をもとに、勉強法や試験の難易度について解説していきます。
葬祭ディレクターになるための勉強法
平安祭典の1級葬祭ディレクターに、資格取得に向けた勉強法を聞いてみました。
葬祭ディレクターを目指すきっかけについても聞いておりますので、参考になさってください。
Q.
どのような方法で勉強しましたか?
A.
学科は『葬儀概論』という書籍を読んで内容を把握し、過去問を繰り返し解いていました。
幕張に関しては、ストップウォッチを持って繰り返し練習しました。
1級にせよ2級にせよ基本は同じで、反復が大切だと思います。(後藤)
※過去問は葬祭ディレクター技能審査(参考書・問題集の紹介)から注文可能です。
Q.
何か月くらい試験勉強をしましたか?
A.
試験前の3か月くらいです。
平均すると3か月くらいの人が多いと思いますが、早い人で半年前から勉強を始めます。
いずれにせよ、試験1か月前には仕上げておくことが大切です。(稲森)
Q.
葬祭ディレクター技能審査を受験しようと思ったきっかけは?
A.
お客様に接する中で資格の有無で安心感や信頼度が変わることを実感し、資格を持つ先輩の姿を見て「自分もああなりたい」と感じたことが大きなきっかけです。
また、平安祭典には「5年以上勤務したら1級葬祭ディレクターを取得してもらおう」という考えがあることも、きっかけの1つです。(後藤)
試験場の雰囲気や試験の流れは?
続いては、試験場の雰囲気や試験の流れについて質問してみました。
Q.
試験会場はどんな場所ですか?
A.
全国で同じ日に同じ内容で試験を行ないますが、試験会場は地域によって違います。
関西圏は京都の会場で、京都市勧業館(みやこめっせ)など、イベントホールのような場所が使用されます。(青野)
※年によって会場は変わります。
Q.
受験されている方は多かったですか?
A.
年によって差はあると思いますが、私が受験した年は200~300人いたと思います。(青野)
Q.
実技試験はどのような流れで行なわれますか?
A.
実技試験のうち、司会と幕張は2人の審査員の前で行ないます。
幕張の場合、受験者は「このテーブルにこういった幕張を何分で行なう」など、ある程度の指定があります。
また、司会では当日に割り当てられたコメントや指定の順番を守る必要があります。(式自体は毎年同じため、過去問を見ることで予習できますが、読みあげるお名前などは当日問題用紙が配られるまではわかりません。)
先に司会、後で幕張など、受験番号によって試験の順番が違い、多少の待ち時間も発生します。(青野)
Q.
合格・不合格はどのようにわかりますか?
A.
試験の2か月後に合格者のみ郵送で通知されます。
不合格の場合は通知がありません。(宮崎)
試験を受けて難しいと感じた?
葬祭ディレクター技能審査の難易度についても質問しました。
Q.
実際の試験は難しいのでしょうか?
A.
総合的にみると難しいが、それまでしっかりと勉強できていれば困難な試験ではありません。(稲森)
先輩から教えてもらえない葬儀社に勤務していると、難しいかもしれません。
試験内容としては地域性の強い問題はなく、全国的に共通する内容の問題が出ます。(青野)
学科は過去問を全て覚えて勉強していれば、7割くらいは正解できます。(大きく広く勉強することも必要)
また、学科には宗教的な知識なども必要なので、実務経験だけでは合格が難しいかもしれません。(勉強しないと難しい)(後藤)
経験者からのアドバイス!試験場でのよくある失敗に注意
次に、試験場でのよくある失敗についても質問してみました。
Q.
試験場で(注意した方が良い)よくある失敗はありますか?
A.
実技に関しては、練習しすぎて試験当日に緊張の糸が切れてしまう人がいます。
逆に、緊張し過ぎで司会の流れを飛ばす人もいます。
すぐ隣で受験生が同じ試験をしているため、隣のペースに惑わされないことも大切です。
とにかく会場の緊張感がすごいので、緊張に負けないように心を強く持ちましょう。
あとは、広い会場内で落ち着いて場所を把握することも大切です。
会場内で迷ってしまい、試験開始直前に息を切らせて到着する人がいました。(宮崎)
葬祭ディレクターを目指す方へのアドバイス
最後に、葬祭ディレクターを目指す方へのアドバイスをもらいました。
Q.
これから葬祭ディレクターを目指す方へアドバイスはありますか?
A.
ご葬儀の業務を行なうにあたって、自分のスキルが上がりますし、知識も豊富になります。
また、知識がついてスキルが上がるため、お客様に適切なアドバイスができます。(稲森)
名刺に肩書が入るのでお客様の信頼が上がり、ご葬儀の相談がスムーズになります。(後藤)
自分のためにもなるし、お客様のためにもなるため、やりがいが出てきます。
資格取得で得た知識や技能は、実務に活かせることがほとんどです。(青野)
今後はディレクターの資格が必要不可欠なものになると思います。
ご葬儀のプロとして働く以上は、ぜひ取得しておくべき資格です。(宮崎)
まとめ
当記事では、葬祭ディレクター技能審査の内容、合格するための勉強法、試験の難易度、試験場でのよくある失敗をご紹介しました。
当記事をご覧になった方が、晴れて葬祭ディレクター技能審査に合格されることを願っております。
ご葬儀についてお困りごとがあればぜひ平安祭典(0120-00-3242)までお問い合わせください。
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公開日:2023年2月6日
葬祭ディレクターとは葬祭に関する資格で、葬儀社スタッフの能力を測る指標といえます。
とはいえ、葬祭ディレクターについて詳しくご存じない方は多いでしょう。
そこで今回は、現役の葬祭ディレクターにヒアリングを実施。
約1時間にわたって「どのような資格?」「仕事内容や収入は?」など気になる点を質問し、記事を作成しました。
現役葬祭ディレクターならではの意見を記事にまとめておりますので、葬祭ディレクターに関心をお持ちの方はぜひご覧ください。
また、葬祭ディレクター技能試験の内容、技能試験に向けた勉強法などもヒアリングし、###sousaidirector_goukaku###にまとめております。
葬祭ディレクターを目指す方は、ぜひこちらもご覧ください。
なお、平安祭典には2022年8月現在で77名の1級葬祭ディレクターが在籍しており、今回は以下の4名にヒアリングを実施しました。
・マネージャー:宮崎 勝己
・サブマネージャー: 稲森 裕之
・サブマネージャー:青野 正典
・サブマネージャー:後藤 雅史
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葬祭ディレクターとはどんな資格?
葬祭ディレクターとは葬祭に関する資格で、「ご葬儀を取り仕切る上で、必要な知識や技能を保有している」ことを証明するものです。
葬祭ディレクター技能審査協会が実施する試験(葬祭ディレクター技能審査)に合格すると資格が与えられます。
ただし、受験には葬祭の実務経験が必要になるため、だれでも受験できるわけではありません。
葬祭ディレクターの概要をより詳しく知りたい方は、厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査の公式サイトをご覧ください。
葬祭ディレクターの等級区分
葬祭ディレクターの等級は、1級と2級の2つにわかれています。
それぞれどのような違いがあるのか、順に見ていきましょう。
葬祭ディレクター1級
葬祭ディレクター1級の概要は以下の通りです。
合格すると、個人葬から社葬のような大型葬まで、すべてのご葬儀に対応できる知識と技能を有することが認定されます。
・受験資格:5年以上の葬祭実務経験を有すること、または2級合格後に2年以上の葬祭実務経験を有すること
・審査内容:すべての葬儀における相談、式場設営、式典運営など、葬祭サービスの詳細な知識と技能に関する実技試験と実技筆記
また、1級葬祭ディレクターは次のような金色のカードとバッジケースが与えられます。
ですが、業務中にこのバッジを身につけているかは葬儀社によって異なります。
平安祭典の有資格者はバッジを付けておらず、名刺に厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査 1級葬祭ディレクターであることを記載しています。
葬祭ディレクター2級
葬祭ディレクターの概要は以下の通りです。
合格すると、個人葬についての知識と技能を有することが認定されます。
・受験資格:2年以上の葬祭実務経験を有すること
・審査内容:個人葬における相談、式場設営、式典運営など、葬祭サービスの詳細な知識と技能に関する実技試験と実技筆記
ネームバッジは1級と違い銀色です。
葬祭ディレクターの仕事内容・収入について
続いては、葬祭ディレクターの仕事内容と収入について見ていきましょう。
具体的にどのような業務を行なっているのか、収入の水準はどれくらいなのか、気になる点を質問してみました。
仕事内容は多岐にわたる
葬祭ディレクターの仕事内容は、ご葬儀に関する事前相談から、ご遺体の搬送、お通夜やご葬儀の司会、供花やお食事の準備など、多岐にわたります。
ただし、葬儀会社によって仕事内容には違いがあるため、一例として平安祭典の葬祭ディレクターがどのような仕事をしているのか聞きました。
Q.
葬祭ディレクターの具体的な仕事内容を教えてください。
A.
ご葬儀に関する業務全般を行ないます。
お客様の不安を取り除くために質問に答えることも多いですし、ご葬儀に関する打ち合わせ、司会、施行担当、祭壇の飾りつけや食事の手配など、幅広い業務を行なっています。(稲森)
Q.
仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
A.
ご遺族の気持ちに寄り添ってご葬儀を行なうことです。
当然ですが、そのためにはご葬儀に関する知識や技能が必要になります。(青野)
Q.
仕事をしていて嬉しい(やりがいを感じる)のはどんな時ですか?
A.
お客様に感謝をされた時は嬉しいですし、社葬など綿密なシミュレーションが必要な大規模葬儀をやり遂げた時などは、達成感があります。(稲森)
Q.
喪主から「葬祭ディレクターの資格保有者にご葬儀を担当してほしい」というご指定を受けることはありますか?
A.
ほとんどありません。
葬祭ディレクターという資格をご存じない方も多いと思います。
ただ、平安祭典の場合は相談員になるための社内試験制度があり、有資格者の相談員がほとんどの事前相談を行なっています。(後藤)
年齢・資格の種類によって収入には差がある
葬儀会社の給与体系は、各社さまざまです。
年齢・資格の等級によって収入に差が出ることもあれば、資格を取っても収入が変わらないこともあるようです。
そこで、平安祭典の葬祭ディレクターに、収入について1つだけ質問をしてみました。
Q.
葬祭ディレクターの収入水準は高いと思いますか?
A.
葬儀会社によって違いがあると思うので、一概には言えません。
葬祭ディレクターだからといって、収入が上がるとも限りません。
とはいえ、葬祭ディレクターの資格を持っていないと打ち合わせができないシステムの会社だと、資格を持っていると携わる業務が増えるかもしれません。
そうすると、インセンティブなどの面で給与に差が出る可能性はあると思います。
平安祭典の場合は葬祭ディレクターの資格を取り、社内試験にパスして相談員になり、ご葬儀の相談を受ける件数が増えると、収入も上がるのではないでしょうか。(宮崎)
まとめ
当記事では、現役葬祭ディレクターにヒアリングした内容をもとに、葬祭ディレクターの概要、仕事内容、収入などをご紹介しました。
平安祭典には多数の1級葬祭ディレクターが在籍しておりますので、ご葬儀に関するお困りごとなどございましたら、(0120-00-3242)まで気兼ねなくご連絡ください。
繰り返しになりますが、葬祭ディレクターの仕事内容や収入は葬儀社によって差があるため、ここでご紹介した内容はあくまで「平安祭典の場合」とご理解いただけますと幸いです。
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公開日:2023年1月9日
ご葬儀に関連して「エンバーミング」という言葉を聞いたことがあり、どのようなものだろうと関心をお持ちの方は多いかもしれません。
当記事では、エンバーミングの意味、どんな時に必要なのか、さらに手順や費用について解説します。
エンバーミングについて知りたい方、エンバーミングを検討されている方はぜひ最後までお読みください。
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エンバーミングとは?行なう理由は?
エンバーミングとは、ご遺体の長期保存(およそ10~14日)を可能にする技術のことで、日本語では「遺体衛生保全」といいます。
ご遺体を消毒・殺菌して科学的な防腐処置を施し、必要に応じて修復もします。
エンバーミングを行なうのは、エンバーマーと呼ばれる有資格者です。
IFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)の「エンバーマー資格試験」に合格した方だけが、エンバーミングを行なえます。
もともと、土葬が基本の国では主にご遺体からの感染を防ぐために、エンバーミングが行なわれてきました。
ただ、近年はアメリカなどでも火葬が増えつつあるため、エンバーミングは感染症防止だけでなく、公衆衛生に配慮し安全に葬儀を実施するために行なうものとも考えられています。
ちなみに現在の日本において、エンバーミングは一般的に行なわれるものとはいえません。
というのも、日本は火葬文化の国であり、ご遺体を長期保存するケースも稀なため、感染症防止の観点ではほとんど必要性がないからです。
しかし、なんらかの事情でご遺体を長期保存する場合や、火葬までの日数を必要とする場合などは、エンバーミングによってより良いご葬儀を実現できるケースもあります。
ご遺体を衛生的かつ美しく長期保存できる
エンバーミングとは具体的に何をするのかというと、ご遺体を消毒・殺菌したのち、血液を防腐剤などと入れ替えます。
この処置により、ご遺体を衛生的に長期間(およそ10~14日)常温で保存できます。
そのため、亡くなってからご葬儀までが長い場合でもご遺体の腐敗が進むことなく、臭いもほとんど感じない状態を保つことができます。
エンバーミングを行なうとドライアイスや冷蔵庫を使用する必要がないため、ドライアイスを長時間あてることによってできる皮膚の黒ずみも回避できます。
※故人様の状態によってはドライアイスの併用を依頼する場合もあります。
また、必要に応じてご遺体の損傷個所の修復も行ないます。
解剖をされているご遺体や、点滴や薬の副作用で水泡ができている場合、交通事故などで通常なら拝顔が不可能な場合などでも、極力ご生前の状態に近づけるよう処置を行ないます。
ただし、ご遺体の腐敗や外傷が激しく、お顔を見てのお別れが不可能な場合は、特殊な納棺方法で消臭し、棺の蓋を開けてお花や副葬品を納めていただけるように処置を行ないます。
エンバーミングとエンゼルケアはどう違う?
ご遺体の処置に関して「エンゼルケア」という言葉もありますが、エンゼルケアとエンバーミングは目的も処置の範囲も異なります。
エンゼルケア(死後処置)とは、死後に病院などで行なわれる処置です。
「目や口を閉じる」「口腔・鼻腔のケア」「身体の清拭」「体液漏れ防止対策」などにより、主に“表面的に”姿を整えます。
一方、エンバーミングは表面だけでなく体内まで処置を行ない、ご遺体の防腐・殺菌・感染症防止・修復を主な目的としています。
エンバーミングが必要なケースは3つ
エンバーミングが必要なケースは、主に以下の3つです。
① 火葬までに時間が必要なケース
「親族が海外にいる」「事情により葬儀がすぐに行なえない」といった理由から、火葬までの時間が長くなるケースです。
ドライアイスや冷蔵庫を使用してもご遺体の腐敗は徐々に進んでしまうため、エンバーミングを行なって腐敗の進行を抑え、ご遺体を生前に近い姿に維持します。
② ご遺体を海外から空輸で搬送するケース
旅行や出張で海外に行かれた方が亡くなった時や、他国の方が日本で亡くなった時などは、ご遺体を航空機で搬送することがあります。
安全上の観点から航空機内では必要量のドライアイスを使用できないため、エンバーミングが必須となります。
③ 元気だったころの姿で見送りたいケース
解剖や交通事故などにより傷や損傷がある、療養生活で顔が痩せ細ってしまった、点滴や薬の影響で顔がむくんでいるなど、故人様の見た目が生前と大きく変わってしまう例は少なくありません。
エンバーミングによって、「元気だったころの姿にできるだけ近づけたい」「美しいお顔で皆にお別れをしてもらいたい」というご遺族のご要望を叶えられるのです。
エンバーミング処置の手順
ここからは、エンバーミング処置の手順について詳しく解説します。
所要時間はおよそ3時間~4時間で、手順は以下の通りです。
・ ご遺体の洗浄と消毒・殺菌
身体の表面の消毒と洗浄を行ないます。
↓
・ 体内の洗浄と防腐処置
ご遺体の一部を1cm~1.5cmほど切開し(小切開と呼ばれ、状況により切開の大きさは変わります)、そこから血液と防腐剤を入れ替えます。
毛細血管まで防腐剤が浸透したご遺体は皮膚の表面に赤みがさし、より生前の姿に近くなります。
↓
・ 体内の残存物の除去
食道、胃、腸内など消化器官に残っている食物や、呼吸器官の痰などの残存物を吸引し、胸や腹腔の体液も除去します。
↓
・ 縫合、修復、洗浄
防腐剤を注入する際に切開した箇所を縫合します。
その際に、顔や身体で損傷している場所があれば修復し、再度全身の洗浄を行ないます。
↓
・ 洗髪や洗顔
ご遺体の洗髪・洗顔、髭剃りなどして、故人様のお顔やその周囲を整えます。
なお、IFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)では厳格な下記の基準に従い、節度を持ってエンバーミングを行なうと定めています。
そのため、刑法190条(死体損壊罪)や、その他の法律には抵触しません。
・本人またはご家族の署名による同意に基づいて行うこと
・IFSAに認定され、登録されている高度な技術能力を持つ技術者によってのみ行われること
・処置に必要な血管の確保、体腔の防腐のために最小限の切開を行い、処置後には縫合・修復すること
・処置後のご遺体を保存するのは50日を限度とし、火葬または埋葬すること
引用元:エンバーミングとは-エンバーミングの法的解釈 | 一般社団法人 日本遺体衛生保全協会
エンバーミングの費用相場はどれくらい?
エンバーミングの費用は、故人様の状態と処置の内容によって大きく異なります。
具体的な料金は、葬儀社や専門業者にお問い合わせください。
費用のことを考えると、「ドライアイスや冷蔵庫で保存してはダメなのか?」という疑問を持つ方も多いようです。
先述したように、ドライアイスや冷蔵庫は腐敗を遅らせる効果はあるものの、エンバーミングのように腐敗を回避することはできません。
長期保存を目的とされる場合は、エンバーミングを行なうメリットは大きいといえるでしょう。
まとめ
今回はご遺体の防腐処置・修復を行なうエンバーミングについて解説しました。
エンバーミングは、事情によりご遺体を長期保存する場合だけでなく、「元気な頃に近い姿で見送りたい」「心ゆくまでお別れをしたい」といったご遺族のご要望を叶えるためのものでもあります。
エンバーミングは直接専門業者に依頼することもできますが、葬儀社を通して手配をする方が多いようです。
ただし、葬儀社によっては対応していない場合もありますので、事前にご確認いただくと良いでしょう。
事前相談については###sougi_jizensoudan###で詳しくご説明しております。
平安祭典でもエンバーミングのご相談対応やエンバーマーの手配を行なっております。
エンバーミングについて詳しく知りたい方、検討されている方は、ご遠慮なく平安祭典(0120-00-3242)までご連絡ください。
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公開日:2021年12月27日
皆さまはご葬儀で失敗してしまった経験をお持ちでしょうか。
前回の記事では、実際に起きてしまった失敗として、「服装に関する失敗談」や「持ち物に関する失敗談」、「お通夜、葬儀・告別式の最中の失敗談」をご紹介しました。
今回は、その続きとして、「喪主・ご遺族の失敗談」、「参列者側の失敗談」についてご紹介します。皆さまのご参考になれば幸いです。
喪主・ご遺族の失敗談
《遺影用の写真を準備していたのに見つからない》
喪主・ご遺族の失敗談でよくあるのが、遺影用の写真に関することです。ご葬儀を執り行なう際、事前に遺影用の写真を準備しておいても、いざという時に見つからないことがあります。
このような事態を避けるためにも、遺影用の写真に関して、ご家族間で情報共有をしたり、エンディングノートに挟んでおくなど、すぐに見つけられるようにしておきましょう。
《遺族代表のご挨拶が上手くできない》
また、遺族代表のご挨拶時に失敗したという話もあります。ご葬儀では、普段は使わない言葉(例えば「ご参列」、「ご厚情」、「ご厚誼(こうぎ)」など)を使うので、読み方を間違えてしまったり、言いづらくて言葉を噛んでしまうことがあります。
原稿を見ながらでも全く問題ありませんので、落ち着いてゆっくりとご挨拶をしてください。例文を参考にした場合には、分からない言葉の読み方を事前に調べておくと良いでしょう。
挨拶に関しては、###mosyu_aisatsu###の記事で詳しくご紹介しております。
《○○を忘れた》
挨拶の原稿、副葬品を持参するのを忘れてしまったといった話は決して珍しくありません。また、ご葬儀後に、ご遺骨、御香典を忘れて帰宅してしまったというご遺族もいらっしゃいますのでご注意ください!
喪主・ご遺族の中で役割分担をあらかじめ決めておき、リストにしておくと、このような「○○を忘れた」という事態は防げるかもしれません。
参列者側の失敗談
《慌てて式場を間違えてしまった》
規模が大きく複数の式場がある葬儀会館では、ご葬儀が複数同時に執り行なわれることがあるので注意が必要です。
案内看板をきちんと確認し、分からない場合にはスタッフに確認すると良いでしょう。
間違えて御香典を渡してしまい、後で返却してもらうといったこともあるようです。
《弔電の宛名が喪主名でないため届かなかった》
やむを得ずご葬儀に参列できない場合には、喪主宛てに弔電を送ります。
ただし、喪主以外を宛先とすると届かない可能性もあるため、訃報をもらった際にきちんと喪主の名前を確認し、弔電をお送りしましょう。
特にご友人や知人のご家族がお亡くなりになった際には、注意が必要です。
《書留で御香典を送ったが、遺族に届かず返ってきた》
ご葬儀に参列できない場合、御香典を郵送するのは失礼にあたりません。ただし、御香典を葬儀会館に送る場合は注意が必要です。
御香典はご葬儀に間に合うタイミングで送りましょう。ご遺族がお帰りになった後に葬儀会館に御香典が届くと、ご遺族の手に渡らず戻ってきてしまうので、間に合わない場合は、喪主の住所宛に送ってください。
平安祭典の事前相談をご活用ください
今回は、「喪主・ご遺族の失敗談」、「参列者側の失敗談」についてご紹介しました。
冒頭でもお伝えした通り、前回の記事では、ご葬儀の際に実際に起きてしまった失敗談として、「服装に関する失敗談」や「持ち物に関する失敗談」、「お通夜、葬儀・告別式の最中の失敗談」についてご紹介しています。
###sougi_fukusousippai###の記事も合わせてお読みください。
前回の記事でも触れましたが、ご葬儀で大事なことは事前の準備です。
平安祭典の事前相談(0120-00-3242)をご活用いただければ、今回ご紹介したような失敗も防げるかもしれません。
神戸・阪神間にお住まいの方は、気兼ねなく平安祭典の事前相談をご活用ください。
続きはこちら
公開日:2021年12月20日
ご葬儀は厳粛な儀式の場です。滞りなく進行させたいものですが、時には失敗だって起きてしまいます。そこで今回から2回に分けて、ご葬儀の際に実際に起きてしまった失敗談をご紹介します。
まずは、「服装に関する失敗談」や「持ち物に関する失敗談」、「通夜、葬儀・告別式の最中の失敗談」からです。
ご葬儀での服装に関する失敗談
ご葬儀に関する失敗の中でよくあるのが、服装に関することです。ご葬儀の際には、ご遺族も参列者も服装には気を遣うのですが、ちょっと恥ずかしいトラブルに見舞われてしまうこともあるようです……。
《体型が変化し、喪服がきつくボタンが飛んでしてしまった》
「喪服を久しぶりに着たら体型が変化していて、ボタンが飛んでしまった」というのは、結構ある話です。
喪服を購入する際には、将来的な体型の変化を見越して、アジャスター付きのものを選ぶと良いでしょう。
《靴が劣化で底の部分がボロボロになり、床を汚してしまった》
弊社のスタッフが、黒い塊が延々と落ちていているのを見つけ、何だろうと思い手に取ると、劣化し剥がれ落ちた靴の底だった……というのは、実はよくある話です。
靴は意外と劣化しやすいものです。特に湿気は大敵。冠婚葬祭用の靴はしまいっぱなしにせず、たまに下駄箱から出して陰干ししたり、メンテナンスを心がけてください。
《礼服のファスナーが開いていた》
ご葬儀の式場で、礼服のファスナーが開きっぱなしという方は少なからずいらっしゃいます。
相手が同性であれば伝えてあげ、相手が異性の方で言いにくい場合は、同性の方に伝えてもらったり、周りの方に気づかれないようにメモを渡すなど、そっと伝えてあげましょう。
《靴下に穴が開いていた》
ご葬儀では、靴を脱ぐ機会もあります。
靴下に穴が開いていないか事前にしっかり確認しておきましょう。
《ストッキングが伝線してしまった》
女性にとって、どうしても避けられないのがストッキングの伝線です。
式場についてからでは、なかなか買いに行くこともできないので、予備のストッキングを用意しておくようにしましょう。
ご葬儀の服装については###sougi_midashinami###で詳しくご説明しています。
ご葬儀の持ち物に関する失敗談
《御香典の中身を入れ忘れた》
後で中身を入れようと思って忘れてしまったのかは分かりませんが、ご遺族が気付いても、さすがに言い出しづらいですよね……。事前にしっかり中身を確認しておきましょう。
《数珠の糸が切れて式場で散らばった》
数珠の糸が切れてしまう方は、意外といらっしゃいます。あまり防ぎようのないことですが、数珠の正しい持ち方を覚えて、できるだけ優しく取り扱いましょう。
宗派によって異なりますが、基本的には左手に掛けて右手を添える、もしくは両手に掛けて親指で軽く押さえて合掌します。また、持ち歩く際には、念珠入れに入れておくことで、傷みを防ぐことができます。
もし数珠が切れてしまっても、不吉なことではなく、悪いものを断ち切ったとされているので、ご安心ください。
《お別れの際に、お花と一緒に数珠も棺に落としてしまった》
数珠は優しく持つと良いのですが、あまり優しく持っていても、このように棺に落としてしまうこともあるので、お気を付けください。
《ご葬儀中に携帯電話の着信音が鳴ってしまった》
ご葬儀の場にふさわしくない軽快な音楽が流れてしまうことも。ご葬儀中には携帯電話の電源を切る、もしくはマナーモードにしておきましょう。
通夜、葬儀・告別式の最中の失敗談
《お経を聞いていたら寝てしまった》
お経を聞いていたら、知らないうちに寝てしまった……という方もいらっしゃるはず。
眠気を覚ます方法としては、ツボ押しが効果的です。中指の爪の生え際から3mmほど下に「中衝(ちゅうしょう)」というツボがあります。このツボを反対の手の親指で押して刺激してみてください。
他にも、目頭と鼻の付け根の間にあるくぼみ「晴明(せいめい)」が眠気に効くのだとか。
《足がしびれて転んだ》
長時間正座をしていると、足がしびれて立ち上がった時にうっかり転んでしまうので注意しましょう。
足がしびれない座り方のコツは、まず背筋をしっかりと伸ばして、重心が前にかかるように座ることです。そして、両足の親指を重ねます。そうすると、足にかかる圧力が減り、しびれにくくなるのだとか。
《焼香の仕方が分からず、挙動不審になった》
焼香をする際には、何とも言えない緊張感があります。慣れていないと、思わず頭が真っ白になって、炭をつまんでしまい、火傷しそうになってしまう……。というような挙動不審な振る舞いをしてしまうこともあります。
焼香の仕方を覚えておくと、ご葬儀の際に慌てずに済みます。宗派によって作法も異なりますので、以下のページを参考にしてください。
【葬儀の基礎知識】(平安祭典ホームページ)
《子供がじっとできなかったり、騒いでしまった》
ご葬儀に子供を連れて行くと、子供がじっとできなかったり騒いでしまったりと、ひやひやさせられることがあります。
ご葬儀に子供を連れて行く際には、あらかじめ、なるべく退出しやすい席を選ぶと良いでしょう。
ご葬儀で大事なのは事前の準備
いかがだったでしょうか。今回はご葬儀の際に実際に起きてしまった失敗談をご紹介しました。
これらの他にも、「親戚用に通夜ぶるまいを用意したのに、遠慮して帰ってしまい、大量に余ってしまった」「想定外の参列者の数で、粗供養品が足りなくなった」といった、ご葬儀の内容に関する失敗談もあります。
いずれにせよ、ご葬儀で大事なことは事前の準備です。
平安祭典の事前相談(0120-00-3242)をご活用いただければ、このような失敗も防げるかもしれません。
神戸・阪神間にお住まいの方は、気兼ねなくご相談ください。
次回は、「喪主・ご遺族の失敗談」、「参列者側の失敗談」についてご紹介します。
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